エドウィン・ディアス

エドウィン・ディアス
Edwin Díaz
ニューヨーク・メッツ #39
ニューヨーク・メッツ時代
(2021年6月18日)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 プエルトリコの旗 プエルトリコ自治連邦区ナグアボ英語版
生年月日 (1994-03-22) 1994年3月22日(30歳)
身長
体重
6' 3" =約190.5 cm
165 lb =約74.8 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 投手
プロ入り 2012年 MLBドラフト3巡目
初出場 2016年6月7日
年俸 $19,650,000(2023年)[1]
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)
国際大会
代表チーム プエルトリコの旗 プエルトリコ
WBC 2017年2023年
獲得メダル
男子 野球
プエルトリコの旗 プエルトリコ
ワールド・ベースボール・クラシック
2017 野球

エドウィン・オーランド・ディアス・ラボイEdwin Orlando Díaz Laboy, 1994年3月22日 - )は、プエルトリコナグアボ英語版出身のプロ野球選手投手)。右投右打。MLBニューヨーク・メッツ所属。愛称はシュガー[2]

同じくプロ野球選手で、シンシナティ・レッズ所属のアレクシス・ディアスは実弟である。

経歴[編集]

プロ入りとマリナーズ時代[編集]

2012年のMLBドラフト3巡目(全体98位)でシアトル・マリナーズから指名され、プロ入り[3][4]

2014年は、A級クリントン・ランバーキングス英語版で24試合116.1回を投げて、防御率3.33、6勝8敗、WHIP1.19の成績を記録した[5]

2015年は、A+級ベーカーズフィールド・ブレイズ英語版で7試合37.0回で防御率1.70、奪三振42、WHIP0.81、AA級では20試合104.1回で防御率4.57、奪三振103、WHIP1.33の成績を記録[5]

シアトル・マリナーズ時代
(2018年6月25日)

2016年6月4日にメジャー初昇格を果たした[6]。6月7日、クリーブランド・インディアンス戦でリリーフ登板しメジャーデビューを果たした。8月2日、ボストン・レッドソックス戦でスティーブ・シシェックに代わり抑えを務め[7]、初セーブを記録した[8]。以後も継続的に抑えで起用され、最終的には49試合に登板して防御率2.79、4敗18セーブを記録した[5]新人王投票では5位タイだった(受賞者はマイケル・フルマー[9]

2017年はシーズン開幕前の2月8日に第4回WBCプエルトリコ代表に選出された[10]。3月22日の決勝アメリカ合衆国戦に敗戦し、2大会連続で準優勝となった[11]。同年は開幕からクローザーを務め、66試合に登板して4勝6敗34セーブ、防御率3.27という成績だった。

2018年は抑えとして防御率1.96、リーグ最多(ボビー・シグペンに並ぶ歴代2位タイ)の57セーブを記録し、最多セーブ投手のタイトルを獲得した。サイ・ヤング賞投票では8位だった(受賞者はブレイク・スネル[12]。また、自身初となるア・リーグの最優秀救援投手賞(マリアノ・リベラAL最優秀救援投手賞)を受賞した[13]

メッツ時代[編集]

2018年12月1日に2対5の大型トレードが成立し、ヘルソン・バウティスタジェイ・ブルースジャレッド・ケルニックアンソニー・スウォーザックジャスティン・ダンとのトレードで、ロビンソン・カノと共にニューヨーク・メッツへ移籍した。[14]

2019年ワシントン・ナショナルズとの開幕戦でメッツ移籍後初セーブを記録した。シーズン前半は9イニングあたりの被安打数が前年の2倍以上となり、Adjusted ERA+英語版も前年の210から74にまで低下した。デッドスピン英語版に寄稿したデビッド・ロス氏は2019年のメジャーリーグベースボールの不調選手の中でディアスの不調は「間違いなく最も劇的で最も驚くべきもの」と評した[15]。9月26日の試合で9回にシーズン15本目となる被本塁打を献上し、MLB史上で1人の投手が1シーズンに与えた9回の被本塁打の最多記録を更新した[16]。58回を投げ26セーブを記録したが、防御率は5.59だった[5]

2020年COVID-19の影響で60試合の短縮シーズンとなる中、10回のセーブ機会で6セーブを記録し、25.2回で50奪三振、14四球、防御率1.75だった[5]

2021年は、63試合に登板して防御率3.45、32セーブなどを記録した[5]

2022年4月8日のナショナルズ戦後に祖母が亡くなってプエルトリコへ帰郷するため、4月9日に忌引リストに登録された[17]。9月1日のロサンゼルス・ドジャース戦で自身最速の102.8mph(約165.4km/h)を記録した[18]。また、トランペットを使用した登場曲の「Narco」が話題となり、シーズン終盤には演奏者のティミー・トランペット英語版が球場に駆け付け、生演奏で入場する試合もあった[19]。この年は61試合に登板して防御率1.31・32セーブ・4ホールド・118奪三振などを記録し[5]、チームのプレーオフ進出に貢献した。ナショナルリーグワイルドカードシリーズ英語版で自身初のポストシーズンへの出場を果たしたが、2試合を無失点に抑えたもののチームは敗退した。 オフの11月6日にFAとなった[20]。11月9日にメッツと5年総額1億200万ドルで再契約した[21]。6年目の2028年は2000万ドルのチームオプションとなる。救援投手としてはアロルディス・チャップマンの8500万ドルを超えて史上最高額となった[22]。11月16日に全米野球記者協会(BBWAA)から2位票が1、5位票が2の計6ポイントでサイ・ヤング賞9位となった[23]。12月5日にはファーストチームの中継ぎ投手の1人として自身初となるオールMLBチームに選出された[24]。12月6日にナ・リーグの最優秀救援投手賞(トレバー・ホフマンNL最優秀救援投手賞)を受賞した[13]。2018年以来2度目の受賞で、ナ・リーグ移籍後では初受賞であり、両リーグでの受賞はクレイグ・キンブレル以来2人目だった[13]

2023年はシーズン開幕前、3月開催の第5回WBCプエルトリコ代表に選出。1次ラウンドで2試合に登板。13日のイスラエル戦では7回に3番手で登板し、コールド8回参考記録の完全試合リレーを達成した[25]。準々決勝進出をかけた15日のドミニカ共和国戦では抑えを務め、3点リードの9回から登板して3者連続三振を奪い、セーブを記録した。直後、マウンドを中心に準々決勝進出の歓喜の輪ができたが、その最中に右脚を負傷するアクシデントが発生。ディアスは座り込んでその場から動けず、弟のアレクシスが涙する中、車椅子で運ばれた[26][27]。翌日、メッツGMのビリー・エップラーは、右膝の膝蓋腱英語版の全断裂が判明し、手術を受けたことを発表。全治8ヵ月の怪我であるとされた[28]。今シーズンは全休する見込みであることが各メディアで報じられた[29][30][31]

同年4月8日の本拠地シティ・フィールド開幕戦となる対マーリンズ戦では、松葉杖姿ながらファンの前に元気な姿で登場した。

選手としての特徴[編集]

スリークォーターから、最速102.8mph[18](約165.4km/h)・平均97mph(約156km/h)の速球と、平均87mph(約140km/h)の縦のスライダーを使用する。スライダーの空振り率は34%と高く、奪三振を量産する[32]

詳細情報[編集]

年度別投手成績[編集]





















































W
H
I
P
2016 SEA 49 0 0 0 0 0 4 18 13 .000 217 51.2 45 5 15 2 3 88 6 1 16 16 2.79 1.16
2017 66 0 0 0 0 4 6 34 2 .400 278 66.0 44 10 32 2 3 89 3 1 28 24 3.27 1.15
2018 73 0 0 0 0 0 4 57 0 .000 280 73.1 41 5 17 0 6 124 3 1 17 16 1.96 0.79
2019 NYM 66 0 0 0 0 2 7 26 1 .222 254 58.0 58 15 22 3 4 99 3 0 36 36 5.59 1.38
2020 26 0 0 0 0 2 1 6 1 .667 110 25.2 18 2 14 0 2 50 1 0 6 5 1.75 1.25
2021 63 0 0 0 0 5 6 32 0 .455 257 62.2 43 3 23 1 9 89 5 1 27 24 3.45 1.05
2022 61 0 0 0 0 3 1 32 4 .750 235 62.0 34 3 18 1 2 118 2 0 9 9 1.31 0.84
MLB:7年 404 0 0 0 0 16 29 205 21 .356 1631 399.1 283 43 141 9 29 657 23 4 139 130 2.93 1.06
  • 2023年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高

WBCでの投手成績[編集]










































2017 プエルトリコ 4 0 1 0 2 20 5.1 2 0 4 1 1 9 1 0 2 2 3.38
2023 2 0 0 0 1 6 2.0 0 0 0 0 0 4 0 0 0 0 0.00
  • 太字は大会最高

年度別守備成績[編集]



投手(P)












2016 SEA 49 2 1 0 0 1.000
2017 66 2 4 1 0 .857
2018 73 1 6 0 0 1.000
2019 NYM 66 2 3 0 0 1.000
2020 26 0 0 1 0 .000
2021 63 4 5 0 0 1.000
2022 61 4 1 1 0 .921
MLB 404 15 20 3 0 .921
  • 2023年度シーズン終了時

タイトル[編集]

表彰[編集]

記録[編集]

MiLB
MLB

背番号[編集]

  • 39(2016年 - )

登場曲[編集]

代表歴[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Edwin Diaz Contract Details, Salaries, & Earnings” (英語). Spotrac. 2023年3月17日閲覧。
  2. ^ M's Players Weekend nicknames explained MLB.com (英語) (2017年8月24日) 2017年9月1日閲覧
  3. ^ 2012 3rd-Round Pick: RHP Edwin Diaz”. U.S.S. Mariner. 2014年10月14日閲覧。
  4. ^ Mariners select RHP Edwin Diaz out of Puerto Rico with 98th overall pick”. Tacoma News Tribune. 2014年10月14日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g MLB公式プロフィール参照
  6. ^ Top pitching prospect Edwin Diaz is headed to the Mariners
  7. ^ R.J. Anderson (2016年8月2日). “The Mariners have a new closer in Edwin Diaz and he's a potential superstar talent”. CBSスポーツ. 2016年8月2日閲覧。
  8. ^ Mariners' Edwin Diaz: Records first save against Red Sox”. CBSスポーツ (2016年8月3日). 2016年8月3日閲覧。
  9. ^ 2016 Awards Voting”. Baseball-Reference.com. 2022年11月9日閲覧。
  10. ^ Young stars join Beltran, Yadi for Puerto Rico MLB.com (英語) (2017年2月8日) 2017年3月16日閲覧
  11. ^ American Beauty: USA dominates PR in final World Baseball Classic (英語) (2017年3月22日) 2017年3月23日閲覧
  12. ^ 2018 Awards Voting”. Baseball-Reference.com. 2022年11月9日閲覧。
  13. ^ a b c Paul Casella (2022年12月6日). “Díaz, Clase named 2022 Relievers of the Year” (英語). MLB.com. 2022年12月7日閲覧。
  14. ^ Robinson Cano, Edwin Diaz could go to Mets” (英語). MLB.com. 2018年12月2日閲覧。
  15. ^ Roth, David (2019年7月8日). “What The Hell Did The Mets Do To Edwin Díaz?”. デッドスピン英語版. https://deadspin.com/what-the-hell-did-the-mets-do-to-edwin-diaz-1836185009 2019年7月10日閲覧。 
  16. ^ Yomtov, Jesse (2019年9月26日). “Mets pitcher Edwin Diaz breaks ninth-inning home run record”. USAトゥデイ. https://www.usatoday.com/story/sports/mlb/mets/2019/09/26/edwin-diaz-new-york-mets-closer/3782242002/ 2019年9月27日閲覧。 
  17. ^ Anthony DiComo (2022年4月10日). “Mets place Díaz on bereavement list” (英語). MLB.com. 2022年4月12日閲覧。
  18. ^ a b Mets Edwin Diaz throws 102.8 MPH fastball, his fastest ever” (英語). オーダシー英語版 (2022年9月1日). 2022年11月9日閲覧。
  19. ^ Hernandez, Joe (2022年10月8日). “This trumpet-fueled walk-on song is professional baseball's latest craze” (英語). NPR. https://www.npr.org/2022/10/08/1127580235/timmy-trumpet-walk-on-song-narco-baseball-craze-edwin-diaz 2022年11月10日閲覧。 
  20. ^ 131 Players Become XX(B) Free Agents” (英語). mlbplayers.com (2022年11月6日). 2022年11月14日閲覧。
  21. ^ Mets Re-Sign Edwin Diaz” (英語). MLB Trade Rumors. 2022年11月10日閲覧。
  22. ^ メッツからFAのエドウィン・ディアス リリーフ投手史上最高額となる5年1億200万ドルで残留へ”. SPOTV NOW (2022年11月7日). 2022年11月9日閲覧。
  23. ^ Marlins’ Sandy Alcantara rolls to unanimous victory in Cy Young race” (英語). BBWAA – Baseball Writers' Association of America (2022年11月16日). 2022年11月17日閲覧。
  24. ^ Paul Casella (2022年12月5日). “Here is the star-studded 2022 All-MLB Team” (英語). MLB.com. 2022年12月6日閲覧。
  25. ^ プエルトリコがWBC史上初の完全試合達成 エドウィン・ディアスらがイスラエル打線を完璧に封じ込める”. 2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™. 2023年3月17日閲覧。
  26. ^ “【WBC】プエルトリコ守護神ディアスが歓喜の輪で右脚負傷のアクシデント 車いすでベンチ裏へ”. 日刊スポーツ. (2023年3月16日). https://www.nikkansports.com/baseball/samurai/wbc2023/news/202303160000389.html 2023年3月16日閲覧。 
  27. ^ “歓喜の輪が一転、悪夢に…守護神が歩けず車椅子退場 弟は号泣、突破プエルトリコに悲劇”. Full-Count. (2023年3月16日). https://full-count.jp/2023/03/16/post1351455/ 2023年3月16日閲覧。 
  28. ^ “【野球】なぜ3位決定戦はないのか 侍Jが優勝を狙うWBC 主催者に聞いてみた”. デイリースポーツ online (株式会社デイリースポーツ). (2023年3月19日). https://www.daily.co.jp/opinion-d/2023/03/19/0016158133.shtml 2023年3月19日閲覧。 
  29. ^ “喜びながら負傷の最強守護神、右膝手術で今季絶望 136億円契約のメッツ大打撃”. Full-Count. (2023年3月17日). https://full-count.jp/2023/03/17/post1352094/ 2023年3月17日閲覧。 
  30. ^ “プエルトリコ代表・ディアスは今季絶望、膝蓋腱断裂で全治8カ月、メッツのエプラーGMが発表”. Sponichi Annex. (2023年3月17日). https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2023/03/17/kiji/20230317s00001007171000c.html 2023年3月17日閲覧。 
  31. ^ “WBC8強守護神、勝利儀式で右膝腱断裂 メッツ発表 プエルトリコ祝福ダンスで悲劇 年俸23億円今季絶望も”. デイリースポーツ online. (2023年3月17日). https://www.daily.co.jp/baseball/wbc2023/2023/03/17/0016149571.shtml 2023年3月17日閲覧。 
  32. ^ FanGraphs - PITCHf/x
  33. ^ Reliever of the Year” (英語). MLB.com. 2022年12月7日閲覧。
  34. ^ All-MLB Team” (英語). MLB.com. 2022年12月7日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]