イワアカバナ

イワアカバナ
福島県磐梯山 2018年8月上旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ上類 Superrosids
階級なし : バラ類 Rosids
階級なし : アオイ類 Malvids
: フトモモ目 Myrtales
: アカバナ科 Onagraceae
: アカバナ属 Epilobium
: ケゴンアカバナ
E. amurense
亜種 : イワアカバナ
E. a. subsp. cephalostigma
学名
Epilobium amurense Hausskn. subsp. cephalostigma (Hausskn.) C.J.Chen, Hoch et P.H.Raven[1]
シノニム
  • Epilobium cephalostigma Hausskn. var. nudicarpum (Kom.) H.Hara[2]
  • Epilobium cephalostigma Hausskn.[3]
  • Epilobium angulatum Kom.[4]
  • Epilobium calycinum Hausskn.[5]
  • Epilobium nudicarpum Kom.[6]
和名
イワアカバナ(岩赤花)[7][8]

イワアカバナ(岩赤花、学名:Epilobium amurense subsp. cephalostigma)は、アカバナ科アカバナ属多年草ケゴンアカバナを分類上の基本種とする亜種[7][8][9]

特徴[編集]

基本種のケゴンアカバナに似るが全体にやや大きい。は直立して、高さは25-100cmになり、上部では多くを分ける。茎にはふつう全体に短い曲がった毛が生え、節間に2列の毛を密生させた稜線があるが、ときに無毛のものもある。は対生し、葉身は長楕円形から長楕円状披針形で、長さ3-9.5cm、幅8-30mm、先端は鋭形、縁には不規則なとがった鋸歯があり、基部はくさび形になり短い葉柄となる。葉の裏面の葉脈上に毛が生える[7][8][9]

花期は7-9月。は茎上部の葉腋から単生し、白色または淡紅色をしている。裂片は4個あり、裂片は卵状披針形で長さ4-5mmになり、筒部とともに毛がある場合とない場合がある。花弁は4個あり、広倒卵心形で長さ4.5-7mmになり、先端が2浅裂する。雄蕊は8個あり、そのうち4個が長い。雌蕊の柱頭は球状にふくらむ。果実は4稜形の細長い蒴果で直立し、長さ3.5-7cmになり、まばらに短い伏した毛が生えるかときに無毛で、熟すると先端から裂開する。果柄は長さ0.3-1.3cmになる。種子は長さ0.8-1.2mmで、細かい乳頭状突起があり、汚白色の冠毛状の長い毛(種髪)がつき、風によって飛ばされる[7][8][9]

分布と生育環境[編集]

日本では、南千島、北海道、本州、四国、九州に分布し、山間の渓流沿いや湿り気のあるところ、またはやや乾いた斜面に生育する[7][8][9]。世界では沿海地方アムール朝鮮半島中国大陸などに分布する[9]

名前の由来[編集]

和名のイワアカバナは、「岩赤花」の意で、湿った岩上に生育するからつけられたが、岩場にのみ生えるというわけではない[7]

亜種名の cephalostigma は、「頭状の柱頭」の意味[7]

基本種[編集]

本亜種の分類上の基本種にケゴンアカバナ(華厳赤花、学名: Epilobium amurense Hausskn.[10])があり、茎の高さは20-50cmとイワアカバナに比べると小さく、茎の節間に毛を密生する2本の稜線があって他は無毛。日本では、南千島、北海道、本州、四国に分布し、亜高山帯の渓流沿いや乾いた斜面に生育する[9]

本亜種はもともとアカバナ属の独立種 Epilobium cephalostigma とされていた[3]が、1992年にアメリカ合衆国の植物学者であるピーター・ハミルトン・レーブンらによって、ケゴンアカバナ E. amurense の亜種と位置づけられ、記載発表された[1]。それまでの日本の植物図鑑、たとえば、平凡社『日本の野生植物 草本II』、保育社『原色日本植物図鑑 草本II』、至文堂『日本植物誌』などでは独立種として扱われていた[1]

下位分類[編集]

白花品種をシロバナイワアカバナ Epilobium amurense Hausskn. subsp. cephalostigma (Hausskn.) C.J.Chen, Hoch et P.H.Raven f. leucanthum (Honda) Yonek. と区分することがある[11]。品種名 leucanthum は「白い花の」の意味[7]

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c イワアカバナ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ イワアカバナ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ a b イワアカバナ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  4. ^ イワアカバナ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  5. ^ イワアカバナ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  6. ^ イワアカバナ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  7. ^ a b c d e f g h 『新牧野日本植物圖鑑』p.486, p.1321, p.1334
  8. ^ a b c d e 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.305
  9. ^ a b c d e f 『改訂新版 日本の野生植物 3』pp.264-265
  10. ^ ケゴンアカバナ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  11. ^ シロバナイワアカバナ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)

参考文献[編集]