アスラ

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アスラअसुर asura)とは、インド神話バラモン教ヒンドゥー教における族または魔族の総称。

概要[編集]

Asura Churning the Sea of Milk Angkor Wat 0745.jpg

本来、『リグ・ヴェーダ』に見られるように、古代インドにおいてアスラは悪役的な要素はあまりなく、デーヴァ神族の王インドラに敵対することもある天空神・司法神ヴァルナとその眷属を指していたが、その暗黒的・呪術的な側面が次第に強調されるようになり、時代が下った古代インドではアスラを魔族として扱うようになった。「アスラはア(a=非)・スラ(sura=生)である」という俗語源説も、この転回を支持するものだった。

インド神話がバラモン教からヒンドゥー教へと発展し、シヴァヴィシュヌが新しく主神となると、アスラはヴァルナの眷属であるという設定はなくなり、神々の敵対者、主にダーナヴァ族・ダイティヤ族の総称としてアスラの呼称は使われるようになった(カシュヤパ仙の憎しみから生まれたヴリトラや、シヴァの破壊衝動から生まれたジャランダーラなどもアスラとして扱われているため、必ずしもこの限りではない。またアンダカのようなシヴァの里子も存在する)。ただしすべてのアスラ神族がデーヴァ神族の敵対者ではない。プラフラーダバーナースラのようなアスラもいる。ガヤのように人々の罪を洗浄するアスラ神族もいる。

アスラ神族はヒラニヤプラと呼ばれる地下の黄金郷やパーターラ地下の黄金郷に住むことが多い。

アスラ神族はデーヴァ神族のようにアムリタを飲んではいないため、不死・不滅の存在ではないが、自らに想像を絶する厳しい苦行を課すことによって神々をも超越する力を獲得し、幾度となくデーヴァ(神々)から世界の主権を奪うことに成功している。そして中にはマハーバリジャランダーラのように人間に善政を敷いたアスラ神族も多い。もちろんアスラ神族には人々に圧制を敷いたトリプラースラシュンバ・ニシュンバ兄弟王もいる。中には例外も居てシュシュナのようにアムリタを隠し持っていたアスラ神族であった[1]

アスラが仏教に取り込まれてそれが中国に伝わると、漢字を当てて「阿修羅」と表記されるようになった。また、中国において「阿」の文字が名の接頭辞(日本でいう「○○ちゃん」、また1文字の女性名(Category:日本語の女性名参照)に添えられる「お」に該当する)と同じ表現であることからか、「修羅」とも呼ばれる。

アスラと仏陀の関係[編集]

宮坂宥勝(高野山大学)は、

悪魔であるアスラをそそのかして神々に戦いをいどんだものは「幻影によって欺瞞する者」(Māyāmoha)すなわち仏陀である。アスラはひとたびは[2]神々を打破することが出来た。が、最後に神々はヴィシュヌ神の助力を仰いでアスラを征伐する。そしてこの「幻影によって欺瞞する者」といえどもヴィシュヌ神の身体(胎内)から生じたものにすぎないのであり、それをヴィシュヌは最高の神々に与えたのであった[3] — 宮坂 宥勝、 「アスラからビルシャナ仏へ」1960(47)、『密教文化』1960年、p.21

と述べている。

松濤誠達(大正大学)は、

また時にブッダ(Buddha-)とされまたマーヤー・モーハー(Māyāmoha)とされるところのヴィシュヌのアヴァラータも、妄説を説くといういわばダーティー・プレイを通じてアスラと目されるジャイナ教徒や仏教徒を地獄に追い落とす点でトリックスターと見ることができる。 — 松濤 誠達、 「古代インド神話解釈の試み -古代インドのトリックスター論覚え書き」24(2)、『印度学仏教学研究』1960年、p.559

と述べている。 したがってヒンズー側から見て仏教はアスラの側である。

脚注[編集]

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  1. ^ 松濤誠達「古代インド神話解釈の試み -古代インドのトリックスター論覚え書き」『印度学仏教学研究』 24(2)、1976年、p42.より
  2. ^ 原文ママ
  3. ^ ヒンズー教徒にとってブッダはヴィシュヌの第9のアバターである

参考文献[編集]

  • 松濤誠達「古代インド神話解釈の試み -古代インドのトリックスター論覚え書き」『印度学仏教学研究』 24(2)、1976年
  • 宮坂 宥勝 「アスラからビルシャナ仏へ」1960(47)、『密教文化』1960年

関連項目[編集]



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