アケボノ

アケボノ
イネ属 Oryza
イネ O. sativa
交配 水稲農林12号×朝日
亜種 ジャポニカ O. s. subsp. japonica
品種 アケボノ
開発 東海近畿農業試験場
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アケボノは、1953年昭和28年)に東海近畿農業試験場によって育成されたイネ(稲)の品種[1]。「農林12号」を母、「朝日」を父とした交配から育成された[1][2]。当時普及していた「朝日」を意識し、その類義語となる「」から、「朝日」に代わる品種となることを期待して命名された[1]。旧系統名は「東山62号」[3]

概要[編集]

主に岡山県の県南地域で生産されている[4]。千粒重は23.8gと大粒で、熟期は晩生[1]。収量性は多収[1]。耐倒伏性は弱いものの、耐病性は中である[1]。10月下旬から11月上旬に収穫される[5]

味は良いが粘りが少ないため、寿司飯、業務用のピラフカレー用などに使用されている[4]。心白はほとんど見られないものの、一般米としては大粒であることから、酒造用の掛米にも向く[1]

来歴[編集]

1939年(昭和14年)に兵庫県立農事試験場で「水稲農林12号」を母、「朝日」を父とした人工交配が行われた[2]

1942年(昭和17年)に雑種第3世代(F3世代)種子が岐阜県における農林省指定水稲新品種育成試験地(岐阜県農事試験場。現、岐阜県農業技術研究センター[6])に供試材料として配布された[2]。その後、1946年(昭和21年)まで岐阜県農事試験場で系統の固定と選抜が行われ、翌1947年(昭和22年)に農林省安城農事改良実験所に育成が引き継がれた[2]

1949年(昭和24年)2月に「東山62号」の地方系統名が付され、関係各府県に配付して、地方的適否を確認した[2]

1951年(昭和26年)4月から試験が東海近畿農事試験場に移管され、同場で検討を続けた結果、1953年(昭和28年)から三重県奈良県奨励品種に採用されることとなり、「アケボノ」と命名された[2]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g 副島 2017, p. 10.
  2. ^ a b c d e f イネ品種 データベース 検索システム「東山62号(アケボノ)」 概要”. ineweb.narcc.affrc.go.jp. 2022年1月25日閲覧。
  3. ^ イネ品種 データベース 検索システム  「 東山62号( アケボノ ) 」 品種情報 ”. ineweb.narcc.affrc.go.jp. 2022年1月25日閲覧。
  4. ^ a b 日本食糧新聞社 編 2018, p. 116.
  5. ^ 岡山の米”. 2022年6月18日閲覧。
  6. ^ 岐阜県農業技術センター”. www.g-agri.rd.pref.gifu.lg.jp. 2022年1月25日閲覧。

参考文献[編集]

  • 副島, 顕子『酒米ハンドブック』(改訂版)文一総合出版、2017年7月31日。ISBN 9784829981535 
  • 日本食糧新聞社 編『全国お米のこだわり銘柄事典』日本食糧新聞社、2018年4月18日。ISBN 9784889272666 

関連項目[編集]