アイ (チンパンジー)

アイ1976年10月 - )は、アフリカ生まれのメスのチンパンジーである。

概要[編集]

1977年11月10日、彼女が1歳の時、愛知県犬山市にある京都大学霊長類研究所にやってきた。 名前の由来は、梶原一騎原作・ながやす巧作画の劇画、『愛と誠』のヒロイン早乙女愛に基づくといわれている。絵(ただし模写ではなく抽象画のようなもの)を描くことができる[1]

1978年より「アイ・プロジェクト」の一環として、文字学習を始めている。「アイ・プロジェクト」とは言っても、アイだけではなく他の多数のチンパンジーも同様の学習をしている。 そのプロジェクト・リーダーであるのが、同研究所の松沢哲郎教授である。

1989年10月3日にアキラとともに檻の鍵を開けて脱走。オランウータンの檻の鍵まで開けて逃がしてやったという。この事件で一躍、天才チンパンジーとして話題になった。このときアキラは施設内にいた複数の小学生を襲撃し、一人に傷害を負わせている[2][3][4]。詳細は京都大学霊長類研究所#チンパンジーの脱走および人間への襲撃事件を参照。

2000年4月24日午後10時49分、人工授精によってアイとアキラとの間にアユム(歩)と名付けられた子供が産まれた。

研究の模様は、民放の各テレビ局でも紹介され、NHKでは『NHKスペシャル』の枠で、1997年5月4日に「ことばを覚えたチンパンジー アイちゃん19年の記録」、2001年5月5日に「ことばを覚えたチンパンジー アイちゃんの子育て日記」と2度に渡ってドキュメンタリーを放送した。

明石家さんまによると、ジミー大西は番組の企画で アイと計算対決をして負けたと 明石家さんま初のロングインタビューで話している。

脚注[編集]

  1. ^ 脳科学と芸術』工作舎 2008年 ISBN 978-4-87502-414-9 参照
  2. ^ 鈴木樹理, 髙井一恵, 野田直美『京都大学霊長類研究所五十年の歩み』京都大学霊長類研究所、2017年3月、1-240頁https://hdl.handle.net/2433/226812 
  3. ^ 『朝日新聞』1990年12月7日
  4. ^ 日本実験動物技術者協会「研究所の過失問わザル 脱走騒ぎ「やはり自力開錠濃厚」『日本実験動物技術者協会 広報誌』第8号

参考文献[編集]

  • 松沢哲郎(著)、薮内正幸(イラスト) 『ことばをおぼえたチンパンジー』 福音館書店たくさんのふしぎ〉9号(1985年12月号)
    • 松沢哲郎(著)、薮内正幸(イラスト) 『ことばをおぼえたチンパンジー』 福音館書店〈たくさんのふしぎ傑作集〉、1989年。ISBN 4834006530
  • 松沢哲郎 『おかあさんになったアイ』 講談社、2001年。ISBN 4061542540
  • 松沢哲郎 『アイとアユム母と子の700日』 講談社、2002年。ISBN 4061542672

関連項目[編集]

外部リンク[編集]