お父さんのバックドロップ

お父さんのバックドロップ』は、中島らもの短編小説及び短編小説集のタイトル。またその短編小説を原作とした2004年に公開された日本映画。主演は宇梶剛士神木隆之介、監督は李闘士男

概要[編集]

初出は学習研究社の学習雑誌「学研の学習」「学研の科学」の付録の短編小説集。 1989年、学研の新創作シリーズから単行本『お父さんのバックドロップ』発売。1993年には集英社文庫から発売されている。

後述の映画に原作者中島らもも散髪屋役で出演しており、この映画の出来を大変気に入っていたが、映画の公開を待たずに2004年7月26日、不慮の事故で他界した。

映画[編集]

お父さんのバックドロップ
監督 李闘士男
脚本 鄭義信
原作 中島らも
製作総指揮 李鳳宇
出演者 宇梶剛士
神木隆之介
音楽 coba
主題歌 スネオヘアー『ストライク』
撮影 金谷宏二
編集 宮島竜治
製作会社 『お父さんのバックドロップ』製作委員会
配給 シネカノン
公開 日本の旗 2004年10月9日
上映時間 98分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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あらすじ[編集]

プロレスが大嫌いな男子小学生・下田一雄は、悪役に転向した父親で、『新世界プロレス』のプロレスラー・下田牛之助を恥ずかしく思い、クラスメイトにもそのことを秘密にしていた。牛之助は、そんな息子の信頼を得る為に無謀な戦いを決意する。

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

概要(映画)[編集]

  • 原作は数十ページほどの短編で、年代も舞台も特に決まった設定はないが、映画は監督の少年期とほぼ同じの1980年の大阪が舞台である。
  • 佐藤隆太が中学生のとき本作の集英社文庫で夏休みの宿題として読書感想文を書いており、佐藤が集英社の「ナツイチ」の広告に起用されたとき、直筆の感想文も公開された。
  • 映画化の際、監督の「イタリア映画のようにしたい」という願いから、副題にBackdrop del mio papaと付けられた。
  • 牛之助役の宇梶剛士は、役作りのために大日本プロレス(以下BJW)に入門し、練習を積み重ねた。また、試合用のリングの設営にも参加。
  • 大阪が舞台ではあるが、予算の都合上、実はBJWの拠点でもある横浜市六角橋商店街や、横浜文化体育館で撮影された。この映画が縁で、BJWは六角橋商店街で年1回の大会を行うようになる。
  • 上記や年代設定の問題から、「映ってはいけない物」は小道具やCGでこまめに消して見えなくしてあるが、河原を走る小田急電鉄にまでは気付かず、それを指摘したのは鉄道に詳しい神木隆之介であった。
  • 牛之助の対戦相手であるロベルト・カーマンを演じたエヴェルトン・テイシェイラは極真空手世界3位(2004年当時)の本物の格闘家であり、映画には極真会館の磯部清次師範ほかセコンド役にも選手が多数出場している。
  • 主題歌:スネオヘアーの「ストライク」ミュージックビデオは 映画のサブストーリー仕立てとして撮影され、新たに収録されている(本編のワンシーンも含まれる)。内容は、金本哲夫(田中優貴)が、大事にしていたグローブを犬に捕られたことで、新世界プロレスの門を叩き、レスラーたち(関本大介、アブドーラ小林など)と練習にはげむという内容になっている。歌唱シーンはないが救急隊員としてスネオヘアーも出演。映画本編と同じく監督に李闘士男、本編での撮影スタッフで製作されている。
  • 映画公開と同時期に「ほぼ日刊イトイ新聞」で、宇梶剛士と神木隆之介それぞれによる父子観をテーマにしたインタビュー(外部リンク参照)が掲載された。
  • 若手レスラー役は本物レスラーが出演しているが、その中にお笑いトリオレッドキング。のメンバーのあるみとしが混ざっている。以前からレッドキング。は監督である李闘士男が演出をするお笑い番組に度々出演していた。
  • 原作と映画の違いは映画版では下田一雄が父親・牛之助を軽蔑する理由が「父親が母親の葬式に出席できなかったこと」であるが、原作版では母親は存命であり、ただ素直に父親がショウアップされたプロレスリングの悪役に満足していることに対する不満である。

朗読ラジオ[編集]

2011年9月10日、NHKラジオ第1放送NHK-FM放送で放送されているラジオ文芸館において、アナウンサーの柴田徹によって朗読された。

外部リンク[編集]