頭山

頭山(あたまやま)は、落語の演目の一つ。「頭山」は江戸落語での名称で、上方落語では、「さくらんぼ」の題名で演じられている。こちらは桂雀々の持ちネタのひとつでもある。

主にケチの噺の枕として使われる小噺であるが、八代目林家正蔵(林家彦六)は話を膨らませて一席噺として演じていた。

概要[編集]

原話は安永2年(1773)刊『坐笑産』の「梅の木」や、同年刊『口拍子』の「天窓(あたま)の池」。類話として安永10年(1782)刊『いかのぼり』の「身投」、享和3年刊の黄表紙『いろ見草 浮世の頭木』などがある[1]。また、青森、岩手、鹿児島などに同趣向の民話が存在した[2]。『徒然草』の「堀池の僧正」に由来する、という説もある。

2002年山村浩二によって短編アニメ化され[3]第75回アカデミー賞短編アニメ賞ノミネートをはじめ23の映画祭で受賞・入賞を果たした。このアニメ版の語り手国本武春。脚本は米村正二。また日本舞踊でも踊られ、狂言では茂山千五郎家が新作狂言として演じられる。

笑福亭鶴笑パペット落語として登場人物に新たな解釈を加えた上で『さくら(独唱)』をBGMに感動的な物語を作り上げ、代表作のひとつとして「日本の話芸」や「御法度落語 おなじはなし寄席!」で口演している。

あらすじ[編集]

気短な(あるいはケチな)男が、サクランボを種ごと食べてしまったことから、種が男の頭から芽を出して大きなの木になる。

近所の人たちは、大喜びで男の頭に上って、その頭を「頭山」と名づけて花見で大騒ぎ。男は、頭の上がうるさくて、苛立ちのあまり桜の木を引き抜いてしまい、頭に大穴が開いた。

ところが、この穴に雨水がたまって大きな池になり、近所の人たちが船で魚釣りを始めだす始末。

釣り針をまぶたや鼻の穴に引っ掛けられた男は、怒り心頭に発し、自分で自分の頭の穴に身を投げて死んでしまう。

海外の類話[編集]

1786年に出版されたビュルガー原作の小説『ほら吹き男爵の冒険』に、これとよく似たエピソードが存在する[2]

主人公のミュンヒハウゼン男爵が狩りに出かけ、大鹿を見つける。あいにく弾が切れていたので、代わりにサクランボの種を鉄砲に込めて撃つと、鹿の額に命中したものの逃げられてしまう。
数年後、同じ場所に行ってみると、頭から10フィートばかりの立派な桜桃の木を生やした鹿がいた。
男爵はこれを仕留め、上等の鹿肉とサクランボのソースを一緒に手に入れた。

脚注[編集]

  1. ^ 武藤禎夫 『定本落語三百題』 岩波書店、2007年。
  2. ^ a b 武藤禎夫 『江戸小咄辞典』 東京堂出版、1965年。
  3. ^ Yamamura Animation Filmography 2018年4月22日閲覧。

外部リンク[編集]

Yamamura Animation 頭山 Mt.Head 2018年4月22日閲覧。